タンザニア眼科医療支援活動2019 Part3

【報告者】眼科三宅病院 看護師 村上佑里

【活動最終日】

最終日は去年と同様に、Kinyerezi村にある診療所で検診を行いました。タンザニアはマラリアの流行地域でもあり、強力な虫よけスプレーを用意していましたが、街よりも村に生息する蚊の方がマラリアを持っている可能性が高いとの情報を聞き、入念にスプレーをかけて向かいました。
日本では非常に珍しくて怖いイメージしかないマラリアですが、現地ではほとんどの人がマラリアに感染しているそうです。体内のマラリアの活動性が高い時には発熱して学校・会社を休み、解熱したら通常の生活に戻るという、日本での感冒のようにありふれた感染症である、という事実に驚きました。


診察を待つ患者さん

 


診察を行う浅見副院長

横江さんが、検診希望者に対して事前問診や検温を行ってくださりスムーズに進行していきました。訪問した時は20人ほどでしたが、いつの間にか50人を超える村民が集まっていました。先生方は交代で診察にあたり、私は診察の記録係を担当しました。
目が見えにくいと訴えた10代の女の子は、強い近視であることが分かりました。近頃はスマートフォンがタンザニアでも普及しており、近視になる人が多くいるようです。街に出れば眼鏡が買えるようですが、日本円で5000円ぐらいと高額で簡単には買えないとの事でした。眼鏡はなかなか普及しないのに、スマートフォンだけが普及しているという現状に違和感を覚えました。タンザニアではもともとインフラの整備が遅れているため有線で接続する必要がある固定電話の普及が非常に遅れていましたが、電波の基地局・中継局の整備だけで利用可能なスマートフォンが一足飛びに普及してきたようです。

老眼鏡は非常に喜ばれ、村の人達の笑顔を沢山見ることができました。老眼鏡が必要ない方にはサングラスが配られましたが、これも非常に喜ばれ、日本人が掛けるよりもはるかに似合っていました。昨年と同様に、古着も無料で配られました。

検診は昼過ぎまで続き、こうして無事に今回の活動は終了しました。

【活動を終えて】

海外でのボランティア活動は初めてで、思うこと感じることも沢山ありました。
気候や環境も違えば、人々の暮らしぶりや考え方も、全てにおいて日本とは異なりました。そんな中でも、医療を通じて共に一つの目的を果たそうと協力し合うことは、とても感慨深いことでした。
そして今回特に印象深かったのは、活動メンバーの方々の熱意です。昨年の第72回臨床眼科学会で、『見えるを守る』という素晴らしいスローガンが掲げられていましたが、この『見えるを守ろう』と一生懸命活動するチームの皆さんの姿に心動かされました。私も微力ながら、これからも沢山の『見えるを守る』ために精進していきたいです。

また、2019年11月に行われた第35回日本視機能看護学会では、タンザニアでの眼科手術における感染対策面に着目し、資金不足や環境的な制限のある中でも実践可能と考えられる感染対策支援について発表させていただきました。
すぐに実践することは困難かもしれませんが、今後は患者教育も含め、術後眼内炎の発症を少しでも減らしていけるような働きかけができればいいなと考えています。

今後とも本活動の応援をよろしくお願いいたします。