ドライアイ

ドライアイとは?

ドライアイについて

涙の量が減少したり、涙の量は十分でも涙の質が低下することで、目の表面が乾きやすくなった状態をドライアイと言います。

涙は常に目の表面をおおうことにより目を守る働きがありますが、この涙が減少すると(図1)目の表面に傷がつき(図2)、目がゴロゴロしたり、時には視力障害を起こしたりします。

図1 涙液の構造
図1 涙液の構造
図2 ドライアイによる角結膜の障害
図2 ドライアイによる角結膜の障害
黄色に染色されている部分が、障害されている角膜上皮

人は何かを凝視しているときは瞬きの回数が減るため、パソコンやスマートフォンを長時間使用する方はドライアイになりやすくなります。その他にも、コンタクトレンズを使用している方、エアコンの効いた室内に長時間いる方(空調の効いた部屋は湿度が低くなるため目が乾きやすくなります)、ご高齢の方(加齢により涙の分泌量は減少していくといわれています)はドライアイの症状が出やすいと言われています。またアレルギー性結膜炎のある方もドライアイの症状が強く出る傾向があります。

ドライアイは、以下のような検査で診断します。

  • 涙液の分泌量を調べる検査(シルマーテスト:小さなろ紙をまぶたにはさんで涙の分泌量をみます)(図3)
  • 涙の乾きやすさを調べる検査(涙液層破壊時間BUT:瞬きをしない状態で涙が目の表面をどれくらいの時間均一に覆ってくれているかを見ます)(図4)
  • スリットランプで目の表面に傷があるかを見る検査(目の表面を黄色い色素で染めて見ます)
  • 患者さんご自身の自覚症状など

またシェーグレン症候群という涙腺や唾液腺に対する自己免疫疾患の一症状やその他の全身疾患などに関連してドライアイの症状が出ることがありますので、場合によっては採血を行うこともあります。

図3 シルマーテスト
図3 シルマーテスト
図4 涙液層破壊時間(BUT)検査
図4 涙液層破壊時間(BUT)検査

ドライアイの症状

ドライアイは目の乾燥感はもちろんですが、それ以外に異物感、目の痛み、まぶしさ、目の疲れ、視力障害など様々な症状を引き起こします。

チェックドライアイ!

以下の症状で5つ以上チェックがあった、もしくは10秒以上瞬きを我慢できない場合は、眼科受診をお勧めします。

目が疲れやすい
物がかすんで見える
目がゴロゴロする
目がかゆい
目が重たい感じがする
光をまぶしく感じやすい
目が乾いた感じがする
なんとなく目に不快感がある
目が痛い
理由もなく涙が出る
目が赤くなりやすい
目やにが出る

主な治療法について

軽いドライアイであれば、治療の中心は点眼薬になります。水分を目の表面に保持するために人工涙液やヒアルロン酸が入った点眼薬を使っていただきます。また最近では、涙の水分量を増やすような点眼薬や粘液(ムチン)を分泌させるような点眼薬も使用されるようになり、かなりの効果をあげています。また、ドライアイの原因として炎症の関与が指摘されているため、炎症を抑える点眼薬も一緒に使っていただくこともあります。

主にはこのような点眼薬で治療をしますが、それでも症状が改善しない場合は、涙点(涙の通り道の入り口)に栓をするような「涙点プラグ」というものを入れて、涙をせき止めて目を潤わせるような処置をします(図5)。

涙点プラグ以外にも「キープティア」といって涙の通り道にゲル状の素材を入れて涙をせき止める方法もあります。この場合、ゲル状素材が段々と溶けていき3か月ほどで効果がなくなっていくので効果は一時的です。ただし、涙点プラグが脱落しやすい人、涙点プラグがあたってゴロゴロする人、涙点プラグを入れることに戸惑いがある人などには良い治療と思われます。どちらの方法を選択するかは患者さんと相談しながら決めていきます。

図5 涙点プラグによる治療
図5 涙点プラグによる治療

医師からのメッセージ

年齢とともに涙の分泌量は減少するため、ドライアイは年齢を重ねるとともに増加する傾向にあります。また、近年パソコンやスマートフォンの使用が増えており、若い方のドライアイも増えています。

目の乾燥感を訴えて眼科を受診される方もいらっしゃいますが、目が疲れやすい、なんとなく見づらいといった、一見乾きとは違う症状を訴える方の中にもドライアイが隠れていることがあります。適切な点眼薬の使用や治療により症状の緩和が得られますので、上記の症状に当てはまるものがある方は一度眼科でのチェックを受けることをお勧めいたします。