水疱性角膜症、角膜内皮障害

水疱性角膜症とは?

水疱性角膜症について

角膜は黒目の表面の10層から成る透明な組織であり(図1)、一番内側の層である「角膜内皮細胞」(図2)がその透明さを保つのに重要な役割をしています。白内障などの眼内手術の既往のある眼や、緑内障に対して周辺部レーザー虹彩切開術などの治療の既往や、角膜内皮細胞の変性疾患などがあると、この細胞の密度が減少します。角膜内皮細胞が、正常で1 mm2あたり3000個あるべきところ、500個以下になると角膜が混濁し、水疱性角膜症となります。

図1 前眼部の構造
図1 前眼部の構造
図2 角膜内皮の構造
図2 角膜内皮の構造 

水疱性角膜症の症状

角膜が混濁することにより、かすんで見え、視力が低下します。また、角膜表面には知覚神経が数多く存在していますが、角膜の表面に水疱ができるため時に強い痛みを生じます。また、長期間放っておくと、初めは表面の角膜上皮層のみの混濁であったのが、中間層の角膜実質にまで混濁が及んでしまいます。

主な治療法について

ごく最近までは全層の角膜移植術が行われていましたが、現在は角膜の内側にある、角膜実質を含む角膜内皮細胞層を移植する手術、角膜内皮移植術DSAEK (Descemet Stripping Automated Endothelial Keratoplasty)と呼ばれる手術を行います。

具体的には、傷んでいる角膜内皮とデスメ膜を除去します。次にあらかじめ作成しておいた約100-150μmの厚みの移植用角膜内皮を前房内(角膜と虹彩の間の領域)に入れます。そして、前房内(移植片の下)に空気を注入し、空気の浮力により移植片を角膜内面に押さえつけます。2-3日その状態を続けると、移植片が接着します。前房内に入れた空気は徐々に吸収され、約1週間後には消失します。

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手術後について

手術後の診察について

術後2時間は仰向けの絶対安静をしていただき、空気による角膜内皮の接着を促します。約2時間後に診察をして、角膜内皮の接着が良好なことを確認します。もし、この時点で角膜内皮がずれていたり、剥がれている場合には、もう一度手術室で空気を入れ直す処置が必要なこともあります。

手術後の点眼・診察について

拒絶反応や炎症を抑えるためのステロイドの点眼や、感染予防のための抗生物質の点眼などが必要になります。ステロイドの点眼は、拒絶反応を防ぐためにさし続ける必要があります。

術後は毎日診察を行い、移植片の接着の具合、感染の有無などを診ます。調子が良ければ、約1週間で退院となります。

手術後の生活についての諸注意事項

約2-3週間は、眼を強く擦らないようにしてください。

医師からのメッセージ

当院では以前から多くの全層角膜移植術を行ってきました。今回新たに角膜内皮移植術も行うことができるようになり、水疱性角膜症の治療に対して幅広く対応ができるようになりました。もちろん術後の拒絶反応や再混濁による再手術の可能性もありますが、より良い術後視力を期待できると考えます。

水疱性角膜症により、視力低下、眼痛などに悩んでおられる方は気軽にご相談ください。