第3回ひとみネットの会

【日程】2019年3月9日(土)

2019年3月9日(土)に「第3回ひとみネットの会」を開催しました。
当院医師6名による講演に続き、今回は特別講演演者として野田美香先生をお迎えし、「知っておきたい眼形成術」のご講演をいただきました。
80名を超える多くの先生方にご参加いただきました。

世界緑内障週間(緑内障発見のための啓発活動期間)

【日程】2019年3月10日(日)-16日(土)

ライトアップinグリーン運動
「ライトアップinグリーン運動」は、より多くの方々に緑内障という疾患に関心を持っていただくことで、早期発見そして失明予防につながることを切に願うものです。
期間中、当院も屋上をグリーンにライトアップしました。

タンザニア医療支援活動 Part6

【報告者】浅見 哲

2018年6月2日(土)
活動最終日は横江美貴さん(在タンザニア日本大使館職員、看護師)の地元のKinyerezi村での検診を行いました。横江さんが用意してくださったバンでKinyerezi診療所に向かいました。この診療所では通常、内科と婦人科の救急処置のみの対応となっていますが、この日は一部屋を眼科検診用として貸していただきました。


Kinyerezi診療所

眼科検診を待つ患者さん

検診希望者には横江さんが事前に問診を取り、視力、血圧、血糖値なども測定していただいていたので滞りなく進みました。
来院予定だった30名のうち、数人は当日現れず。その代わり、噂を聞きつけて飛び込みでやってきた患者さんがいたりして、最終的に27名の眼科検診を行いました。

ほとんどの患者さんは英語が通じないため、横江さんの長女のルナさんが、スワヒリ語と日本語の通訳として大活躍でした。
患者さんの症状は、めやに、かゆみ、視力低下、字が読めない、などでした。めやに、かゆみに対しては日本から持参した点眼を渡して点してもらうようにしました。
視力が低下している方の中には、白内障を疑う人がいたのでムヒンビリ大学病院の受診を勧めました。また、翼状片(白目の表面にある結膜組織が、黒目の角膜上に張り出す病気)が瞳孔中心を覆うくらい進行している方もいて、日本ではこれほど進行した翼状片はまず見られない、というレベルでした。


現地の患者さんに非常に喜ばれたのが老眼鏡でした。
前回の活動時に眼鏡の需要が高いことを知り、今回の活動には多数の老眼鏡、サングラスなどを持参しました。

タンザニアの一般の市民は眼鏡に手が届かないのが実情です。月給が約2-3万円という相場のところ、眼鏡は一番安いものでも5000円ほどするそうです。ですので、ほとんどの人は眼鏡で矯正する習慣がないので、眼鏡で矯正すれば良く見えるはずなのにそのまま放置せざるを得ない現状があります。


初めて老眼鏡を掛け「字が良く見える!」と喜ぶ患者さん。いい笑顔ですね!


特に視力の矯正を必要としない患者さんにはサングラスをお渡ししました。良くお似合いですね!


診察を受けるおじいちゃんを心配そうに見つめるお孫さん

今回、参加者各自が古着を持参し、来院した患者さんに配りました。初めは持って帰る人は少なかったのですが、無料で配っていることを知ると、あっという間になくなってしまいました。特に子供用の古着が人気で、若いお母さんに喜んでいただきました。


検診の仕事を終えた後で、横江さんが家から作って持ってきていただいたおにぎりをみんなでいただきました。久々の手作りおにぎりは大変おいしく、活動の疲れも癒えました。前日も遅い帰りだったのに、お忙しい中、わざわざ作っていただいたことに心までも温まりました。

検診が終わると、横江さんのご主人でありイララ市会議員であるグレーソンさんが、見送りに来ていただいていました。

診療所の前で集合写真を撮って、今回のボランティア活動は終了となりました。


そのままバンに乗り込み空港へと向かいました。


タンザニア眼科医療支援活動の代表者、山﨑俊先生(山﨑眼科院長、愛知県春日井市)
ダルエスサラームのジュリウス・ニエレレ国際空港にて

タンザニア医療支援活動 Part5

【報告者】浅見 哲

2018年5月30日(水) 手術2日目
AM7:30 宿を出てムヒンビリ大学病院に向かいました。初めに前日手術をした11人の診察を行いました。手術翌日から視力は改善し、患者さんにも非常に喜んでいただきました。


術後の患者さんと小嶋先生


いっぷう変わった視力検査表
行燈のような形をした視力表を回転させるとランドルト環(日本で一般的なC型の視標)の他に見慣れない視標もありました。

前日に壊れた超音波測定装置の代替機が、ムヒンビリ大学病院Academic Medical Centerから研修医の手により届き安堵しました。しかし、使ったことのない機種であり使用方法が分からなかったため、初めは苦戦しましたが視能訓練士の吉川静香さん方のおかげで何とか検査できるようになりました。

2日目の白内障手術の予定は、前日から持ち越した3名を含め13名でした。また、噂を聞きつけて手術予定でないのに来院し、これ以上の受け入れはなかなか難しいことを説明し帰っていただいた方や、現地ドクターが手術候補リストに挙げたものの手術を受けられなかった方々と現地ドクターがもめる一幕もありました。


この日の手術には現地メディアの取材が入りました。
ちょうど浅見が手術をしているところを撮影していただきました。現地のタンザニアで報道されたニュース番組のリンクを以下に載せますので、ご興味があればご覧ください。

いつの頃からか、タンザニア眼科医療支援チームのお守りとして法然上人(として扱っている)置物に活動に同行していただいております。浄土宗の高校出身の山﨑俊先生が「活動の安全祈願のお守り」として用意されたものですが、今では活動メンバーの精神的支えとなり、本活動に無くてはならない存在となっています。


手術中の小嶋先生と手術を見守る法然上人像(手前の置物)

2日目になると現地の眼科医師、レジデントともだいぶ打ち解けてきました。「どうしたら超音波白内障手術ができるようになるのか」と熱心に聞かれたり、「このままもっと長期に滞在して教えて欲しい」、と頼まれたりしましたが、現実的な問題としてなかなか叶えてあげることができないもどかしさがありました。私が手首につけていた蚊除けのバンドに興味を示し、マラリア予防であると説明すると、「マラリアが怖いの?」と笑われてしまいました。ここタンザニアではマラリアは非常に身近な存在で、誰でも体内にマラリア原虫が潜伏しており、その活動性が高まり熱発すると学校や仕事を休んで、熱が治まったら普段の生活に戻るという、日本での風邪にかかった程度の認識くらいしかないようです。「いっそのこと、タンザニアにいるマラリアの半分くらいを日本に持って帰ってよ!」という冗談も飛ばしていました。


眼科ドクターや眼科レジデントとの記念撮影

写真撮影の際のピースサインはタンザニアでも同じのようです。


手術終了後の集合写真

オペが終わった後は、在タンザニア日本大使の吉田雅治氏に、夕食会に招いていただき、在タンザニア日本大使公邸にお邪魔させていただきました。


大使館側の出席者は、吉田雅治大使(写真前列左手)のほか、小杉隆史医務官(後列左端)、藤原稔久三等書記官(後列右から3人目)、今さん(JICA草の根技術協力事業、前列左から2人目)でした。

吉田大使は、これまでフィリピンや中国広州、米国シカゴなどの諸外国に赴任され、2015年4月から現在の駐タンザニア日本大使として着任されました。また、小杉医務官は、十数年前まで静岡済生会病院の救急科で働き、その後外務省に入省し、世界各国の医務官として働いていらっしゃるそうです。
「タンザニア国内のインフラがこの数年で劇的に改善してきている」、というお話がありました。「数年前までは日に何回も停電していたものの、最近は停電回数もかなり減り、インフラが整ってきていることを実感している」、というお話でした。しかし、そのお話のそばから、大使公邸が一瞬停電になり、予備電源で回復するということがありました。実際に山﨑先生の話によると、本活動の第1回から5回くらいまでは手術中にも1-2回数分程度の停電があったそうです。しかし、最近ではほとんど停電はなくなりました。水力発電所の設備が充実してきたことが功を奏しているそうです。
また、吉田大使が前任の岡田眞樹大使から聞いた、アフリカでの中国人の活躍ぶりについてのお話として、「中国の人口は日本の10倍であるので日本の10倍優秀な人材がいる。アフリカでの中国人の活躍ぶりには目を見張るものがある。最近の世界における中国の躍進の縮図がアフリカで見てとれる。日本人もうかうかしていると置いていかれてしまう。」というような趣旨のお話もされ、なるほど、アフリカでの中国人の存在感はそれほどのものかと感じさせられました。
タンザニアの医療事情についてのお話もありました。眼科はもちろんのこと、救急医療の遅れがあり、病棟では患者に急変があっても病棟看護師は連絡をすると怒られるからという理由で医師を呼ばないので、安心して現地の医療機関を受診できない、というお話でした。


残念ながら、当日は大使専属の料理人が不在であったため、ギリシャ人シェフのケイタリングでしたが、おいしい料理をいただきながら、吉田大使や小杉医務官の貴重なお話を伺い、あっという間の2時間でした。


中庭には素敵な日本庭園がしつらえてありました。敷き詰めてある白い砂利はタンザニア産ということです。

タンザニア医療支援活動 Part4

【報告者】浅見 哲

2018年5月29日 手術1日目
手術1日目です。AM7:00に宿を出てムヒンビリ大学病院に向かいました。
前年の活動以来、手術器械、手術用顕微鏡、モニターなどのメンテナンスがしっかりされていたか不明であったので、まず初めにそのチェックから開始しました。
小嶋義久先生、竹内護さん(アシコ・ジャパン、NPO法人タンザニア眼科支援チーム理事)、竹内建司さん(テイクオフメディカル、NPO法人タンザニア眼科支援チーム理事)は、顕微鏡、モニター、記録ビデオ、滅菌器械などのセットアップを行いました。
高橋まゆみさん(知多小嶋記念病院看護師)は、手術に必要な清潔器械の準備、吉川静香さん(知多小嶋記念病院視能訓練士)は、現地の研修医が行う眼軸長測定の指導・監督、横江美貴さん(在タンザニア日本大使館職員、看護師)、貞廣光佐子さん(日本アルコン社)は、患者の氏名、術眼、手術に関する患者情報の記録・確認、山﨑俊先生は全体の流れの総監督、浅見 慎(三重大学1年)は、眼内レンズの度数計算、と、それぞれ手分けをしながら準備を進めました。


微鏡とモニターの調整、接続の調整を行う竹内建司さん

モニター、ビデオの調整を行う小嶋義久先生と竹内建司さん
患者情報の記録・確認を現地研修医と行う貞廣光佐子さん

眼軸長測定を行う吉川静香さんと、横江美貴さん

手術室の廊下
スコットランドの慈善団体Archie-Wood Foundationが廊下の壁をきれいにペイントしてくれたと言う。同慈善団体は他にも、小児科オペ室に麻酔器やベッドも設置してくれたそうです。

種々の器械の点検、セッティングが終了し、手術を開始することができました。小嶋先生と浅見でこの日は11名の白内障手術を行いました。当初の予定では14名の手術を行う予定でしたが、眼内レンズの度数決定のために必要な眼軸長測定用超音波装置のコードが検査途中に断線してしまいました。何とか修理して続けようとしましたが、それもかなわず、結局3名は翌日に持ち越しになってしまいました。普段の器械のメンテナンスも十分に行われていない現状では、何が起こったとしてもおかしくなく、このような突然のトラブルはこれまでの活動の中でもよく起こっていたようです。


このようなトラブルに遭遇しても動じない姿勢は、さすが十数年もこのような環境下で活動を続けてきただけのことはあると感心しました。この件に関しては、ムヒンビリ大学病院Academic Medical Center(本施設については、本連載Part 3を参照)にあった超音波検査機器を持ってきてもらうことになりました。


眼科ドクターの母上の手術を小嶋先生が行いました。手術前は心なしか不安そうな表情でしたが(左写真)、手術が終わった時には、「痛くなかった!」と言って、小嶋先生に握手を求めてきました(右写真)。

余談ですが、タンザニアの都市部では、今回のように白内障手術を受ける患者さんもいますが、少し田舎に行くと、今でも呪術師が祈祷を行っているそうです。そのような田舎では、現代医療というものは住人が見たことがないためまったく受け入れられず、ましてや白内障の手術などというのは敬遠されるようです。手術はそれこそ魔術的なものと捉えられているのかもしれません。

ムヒンビリ大学病院のオペ室でびっくりするような出会いもありました。日本の医学生がムヒンビリ大学病院のオペ室に来ているとの情報を得て、眼科のオペ室の見学にも来てもらいました。学生は三重大学医学部小児科で研修中の医学部6年生でした。三重大学小児科では、6年生の学生を1か月間、ムヒンビリ大学小児科に派遣して、


世界の医療の現場を見学させているようです。三重大学は私の母校でもありますので、すごく親近感が湧きました。本ボランティア活動の紹介や白内障手術の説明などをさせていただきました。私

が医学生だった頃にはこのような海外の経験ができるようなプログラムはありませんでした。今の学生は学生時分からこのような機会が与えられて羨ましくもありました。

(一番目の写真)左から2~4人目の三重大学医学部学生に山﨑先生と一緒に手術の説明を行っているところ

(二番目の写真)顕微鏡の左側の3人が医学部の学生

また、余談ですが、ダルエスサラームの郊外に少し行くと、道路端ではいろいろな物を並べて売っています。パイナップルやバナナ、ピーナツ、工芸品、また、写真にはありませんがマサイ族が焚火で焼いた牛肉のBBQなどです。ガソリンスタンドに停まると、商魂たくましい人たちが寄ってきます。

8K立体映像の眼科手術への応用

【記事担当】太田 一郎 【日程】2018年11月2日

現在,眼科の検査や手術機器の開発には目を見張るものがあります。そして眼科の手術技術や機器の進歩により,手術における安全性は向上しており,比較的早期から手術を行うことも増えてきており,その結果手術後早期からの視力改善が望めます。

 眼科の手術のほとんどは,眼科専用の手術用顕微鏡で行っていますが,顕微鏡を覗きながら眼科の手術は目の中で非常に細かい操作を行わなければなりません。白内障の患者さんは増えており,続けて多数の手術件数を行わなければならない場合も多く,また長時間かかる難しい手術も少なくありません。結果手術を行う医師は,一定の姿勢で手術用顕微鏡をのぞきながら細かい作業を行うため,目や首,腰の疲労はとても多くなり問題となっています。

 一方,わが国ではハイビジョンよりもはるかに鮮明な8Kとよばれる次世代の映像技術では世界でも最先端を行っております。われわれ研究グループは、8Kの映像を医療に活用する研究を進めていて、今回、目の手術の様子を鮮明にしかも立体的に映し出すことができるシステムを開発されました。11月2日に、当院で多くの眼科医や映像機器メーカーの関係者などが見守るなか、白内障,硝子体手術そして緑内障の手術の様子を8Kのカメラで撮影し,その映像の精度を検証しました(倫理委員会承認済み)。
 その結果,細かい手術を映像技術で大きなディスプレーに映し出し,手術を行う医師の負担を減らすとともに,同じ映像を複数の医師など医療従事者が見ることにより,手術場での患者さんの状態を医療従事者が共有できてより安全で効率的な手術が行える可能性が見出されました。まだいくつかの問題点もありますが,この8K立体映像を利用した眼科手術は,将来の主流になると思われます。