8K立体映像の眼科手術への応用

【記事担当】太田 一郎 【日程】2018年11月2日

現在,眼科の検査や手術機器の開発には目を見張るものがあります。そして眼科の手術技術や機器の進歩により,手術における安全性は向上しており,比較的早期から手術を行うことも増えてきており,その結果手術後早期からの視力改善が望めます。

 眼科の手術のほとんどは,眼科専用の手術用顕微鏡で行っていますが,顕微鏡を覗きながら眼科の手術は目の中で非常に細かい操作を行わなければなりません。白内障の患者さんは増えており,続けて多数の手術件数を行わなければならない場合も多く,また長時間かかる難しい手術も少なくありません。結果手術を行う医師は,一定の姿勢で手術用顕微鏡をのぞきながら細かい作業を行うため,目や首,腰の疲労はとても多くなり問題となっています。

 一方,わが国ではハイビジョンよりもはるかに鮮明な8Kとよばれる次世代の映像技術では世界でも最先端を行っております。われわれ研究グループは、8Kの映像を医療に活用する研究を進めていて、今回、目の手術の様子を鮮明にしかも立体的に映し出すことができるシステムを開発されました。11月2日に、当院で多くの眼科医や映像機器メーカーの関係者などが見守るなか、白内障,硝子体手術そして緑内障の手術の様子を8Kのカメラで撮影し,その映像の精度を検証しました(倫理委員会承認済み)。
 その結果,細かい手術を映像技術で大きなディスプレーに映し出し,手術を行う医師の負担を減らすとともに,同じ映像を複数の医師など医療従事者が見ることにより,手術場での患者さんの状態を医療従事者が共有できてより安全で効率的な手術が行える可能性が見出されました。まだいくつかの問題点もありますが,この8K立体映像を利用した眼科手術は,将来の主流になると思われます。