タンザニア眼科医療支援活動2019 Part1

【報告者】眼科三宅病院 看護師 村上佑里

昨年の2018年に当院の浅見哲副院長が参加したタンザニア連合共和国での眼科医療支援活動に、今回初めて同行いたしましたので、その活動内容についての報告をさせていただきます。この支援チームに関する詳細は、2018年の浅見副院長による活動報告(http://www.miyake-eye.or.jp/topics/topics-support)をご参照ください。

【はじめに】

2019年は昨年よりも少し遅い6月15日~23日の活動となりました。タンザニアにおける信仰の約40%をイスラム教が占めていますが、そのイスラム教にとって重要なラマダンという期間があります。日中に断食を行うことで、飢えを知り自制心を強化するといった目的があるようですが、今年はちょうどそのラマダンが終了した後の活動となりました。少し興味があったので、目の当たりにできず残念でした。
昨年の参加人数は9名でしたが、今回は全国各地から数名の眼科医師が新たに加わり、眼科医6名、看護師3名、視能訓練士1名、医療機器関連会社4名、計14名の大所帯での活動で、とても心強かったです。

【活動初日】

人生で初めて降り立ったタンザニアの地は、6月の日本と比べると蒸し暑く感じました。日中の気温は30℃近くまで上昇し、日差しは強烈で思わず顔をしかめる程でした。
初日は昨年と同様に、ムヒンビリ大学病院の講義室にて、現地の眼科医師と医学生を対象とした日本人医師による講演が行われました。先生方の話に真剣な表情で聞き入る学生達の姿がとても印象的でした。
浅見先生の講演では、後嚢が破損した際の処理の仕方や、眼内レンズの強膜内固定術について紹介されました。現地医師からは針の角度や刺す位置等の具体的な質問がありました。現地では行われていない手技であるため、初めて見るビデオに興味深々の様子でした。


浅見副院長の講義

名古屋市立大学病院の前沢琢磨先生の講演の最中に、一時騒然となる場面がありました。前沢先生の講義では、日本の眼科研修医の待遇について色々な角度からのお話をされていましたが、その中で、日本の研修医の給料が現地の医学生にとっては高額であることに驚いていたようでした。タンザニアの医療が遅れている原因はいくつかあると思います。タンザニアの大学病院の医師の給料が安いために医師達の意欲を引き出しにくく、また職業として医師を希望する人も少ないことが、医療発展の足かせとなっている面もあるようです。


前沢先生の講義

講演が終了すると二手に分かれ、手術予定患者の術前診察や手術室の器械類の確認と準備を行いました。
初めて見学するタンザニアの手術室に期待と不安が膨らみましたが、入る直前でまず常駐するスタッフに、『外からの荷物を持ち込むな』と足止めされました。彼らは手術室用の上履きを毎日洗ったり、部屋を小まめに掃除したりと常に清潔を保つことを意識しており、その努力が伝わってきました。活動メンバーによると、本活動の初期には現地スタッフの術野に対する清潔の概念がほとんどなかったものの、活動を通じて毎年スタッフ教育をして徐々に改善されてきた結果がこの点に表れているのだ、ということでした。
次に手術室内にいざ入ってみると、空調設備はエアコンのみで、手術室内には普通の窓まで設置されていました。日本では手術室に密閉度の低い窓があるなんて考えられないことです。さらには、完璧な清潔状態が求められるオペ室内において、蚊やハエと出くわしました。特にハエは清潔な器械を汚染する可能性があるため、感染対策面においては建物の構造などのインフラの整備から始める必要があると感じました。

翌日からスムーズに手術を進行させていくために、可能な術前検査を今日のうちに済ませておこうということで、Aモード眼軸長測定を行いました。日本では視能訓練士にお任せしてばかりの看護師の私も、検査を体験させていただきました。もちろん検査のほとんどは、知多小嶋記念病院の視能訓練士である吉川さんにほとんどやっていただきました。眼科という分野において視能訓練士の存在はとても大きなものだとあらためて感じました。


眼軸長測定を初めて体験させていただきました。

当大学病院において、産婦人科や小児科の患者が多いこともあり、手術室の廊下が可愛い絵で装飾されているのは、この病院ならではだなと思いました。


オペ室の装飾と、視能訓練士の吉川さん

初日からハードな内容でしたが、無事に1日を終えることができました。